sayakaさん

御前を離れず 詔命に背かず 忠誠を誓うと 誓約もうしあげる――――――


「すごい・・・・・・・・よう・・・・・・じゃなくて、主上は台輔にそんなことを言われたんだ。はぁ・・・・・かっこいいなぁ」

桂桂はすっかり一人で自分の考えにつっぱしっている。きっと、台輔はかっこよくて、美青年と言われていて、陽子もきれいだから、それはそれは周りから見るとそれこそ王子様とお姫様のような(?)素敵なワンシーンだったのだろう・・・・。

「桂桂?かっこいい?そんなことは絶対ないぞ。 なんたって、あいつの迎えに来た時の状況っていったらなぁ・・・」

だが、桂桂はそんなこと聞いちゃいない。

「うん! かっこいいね! その言葉ってきっと覚えたらかっこいいだろうな。 ねぇ、よ・・じゃない、主上。ぼくも主上にお使えしてるんだから、その言葉覚えていい?それでね、覚えたらきっと主上にいってあげるから!」

陽子は、違う、かっこいいとかそういう問題じゃない!と言いたかった。だいたい、そんなこと聞いたら景麒が怒るだろう。池に放り投げられるかも、いや、一応慈悲の生き物だから、大丈夫か、とか思ったが、ウキウキしている、かわいらしい桂桂を見ていては、ついつい話しにのってあげたくなるものなのだ。

「あ・・あぁ、じゃあ楽しみにしてるよ。 覚えたら言ってくれ。」

と、つい返してしまった。それが、後に大恥をかくことになろうとは・・・・



「主上、今日はどうなされたのです? 」

景麒が問うのもわかる。政務だというのに、陽子はさっきから、書類に向かっているかと思うと、いきなり う〜ん、 あぁ〜  などと言い出し、どうもおかしい。問うてみても、

「いや、なんでもない。景麒には・・・・でも・・・・お前だからな・・・ゆる・・・だめだよなぁ・・・あぁ」

と言うばかり。

一応表情にはでなくても、やはり陽子が心配でたまらない景麒。主上が困っておられる。ここで慰めると主上は私を頼りにしてくれる<ちゃんす>(最近覚えた蓬莱語)かもしれないっ!などと、わけのわからんことを思い巡らし、結局心配な景麒は陽子に言ってみる。

「主上、特に、金波宮から脱走しようとか、そういうことをお考えでないのであれば、なにも怒りませぬ。どうか、お話くださいませ」

陽子は、びっくりした。てっきり政務に集中できてない、とかって怒られると思っていたので、めずらしく(おいおい)景麒の言葉がやさしかったので、ついつい話してみる。

「実は、桂桂に景麒が私を迎えに来た時の話をしてくれと言われたので、景麒が私に<御前を離れず 詔命に背かず 忠誠を誓うと 誓約申し上げる>って言った、っていったら桂桂が、かっこいい、僕もそれを覚えるから、覚えたらきいてくれ、と言われてな。それで、つい、あぁ。って返事しちゃったんだ。景麒、おこるだろ?」

景麒は思った。主上はこれが悪いことだと自覚しておられる。 だが、王の次に位が高い台輔の、しかも、王に誓約申し上げる時の言葉を子供が、王自身に言うとは、景麒にとっては許せない。 私の主上なのに。―――怒ってはいけない、そう―――怒ってはいけない――――。

「そうですか、確かにあまり(とても)いいことではありませんね。(許すべからん行為ですね)。ですが、今回かぎりとおっしゃってくださるなら、許しましょう。主上もお悩みのようでしたし・・・。」

これまた、景麒から意外に優しい言葉がでてくると思ったのでびっくり!

「け・・・景麒、本当か? ありがとう。お前、優しいところもあったんだな。私は嬉しい!」

言われると、景麒はちょっと幸せになる。主上が、喜んでくださった。私は正しい判断をきっとしたのだろう。

その後の政務は二人ともどこからともなく「♪ルンルン」という声がきこえてきそうなくらい、順調にはかどったという



「あのね、それで、陽子が良いってくれたんだ。だから、僕、がんばって覚えるんだ」

桂桂は遠甫のところへ来ていた。遠甫は、ふむ、といって聞いていた。

それはまずいのでは、と思ったが、これは面白いことになりそうじゃ、と思い、何も言わないことにしていた。

「桂桂、よいか?そのことは極秘<ぷろじぇくと>じゃ。わし以外のものに言ってはならぬぞ。鈴にも、祥瓊にもじゃ」

「はい! わかりました!」

遠甫は一人で喜ぶ桂桂をみながら微笑んでいた。



「え〜っと、なんだっけ? ご・・・・・なんだったっけ?」

桂桂は練習している。そう、がんばって、練習している。しかし、ご・・・なんなんだ?! そう思いながら影でこっそり聞いているのは班渠。景麒に桂桂のようすがどんなものだか見て来いといわれてきたのだ。―――しかし、これをどう報告せよというのだ――――。そこで、班渠は見なかったことにした。

「台輔。」

「班渠か。桂桂の様子はどうだ。」

「練習のようなものはなさっておりませんでした。」

「そうか。――わかった。さがれ」

「御意」

しかし、桂桂の必死の練習はまだまだ続く。

「ご・・・を離れず ・・・・・・し・・・しょ?―――――」

なんだかだんだん記憶が怪しくなってきた桂桂。しかし本人は大真面目だ。

「う〜ん・・・なんだっけ?」



翌日。

「陽子〜〜〜!覚えたよ!聞いて!聞いて!」

ここは陽子の正寝。もちろん景麒はいない。

陽子は、あぁ、ついに覚えてしまったんだな。もし完璧にいえて、景麒が怒ったらどうしよう。と思った。だが、その心配は全く無かった。むしろ、別の心配が必要だった。もっと回りに神経をめぐらすべきだった。

「ん?もう覚えたのか。はやいな」

「うん。じゃあ今から言うから聞いてね」

「あぁ。じゃあ言ってみてくれ」

すると桂桂は言った


「ごはんから離れず  祥瓊にそむかず 冢宰に誓うと 成敗申し上げる」


―――――――――――――――。


「ゆ・・・っ・・許っ・す・・・。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

にこにこにこにこ。桂桂は嬉しそうに、どうだ、と言わんばかりに陽子に笑みをむける。

はっきり言って、間違いだらけで、聞いているほうは笑わないようにするのが必死である。しかし、陽子はなんとか笑いをこらえて、ありがとう、と微笑んだ。

しかし、笑いをこらえるのは無理だった。

いつの間にか祥瓊と鈴が入ってきていて、聞いていて、つい、鈴が噴出してしまったのだ。

それからは、もう皆大爆笑。

「あははははは!祥瓊にそむかず? やだぁ。逆じゃない!」

「せ・・・成敗? 陽子まだ王朝おわらせちゃだめよ〜」

パサ――――――――――。

―――――――――ぱさ?


「・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・?。こ・・・浩瀚?」

―――――――――しばしの沈黙。

いつのまにか浩瀚が書類をかかえて、そこに立っていた。

「・・・・。」

「え・・・・えーと、あの〜、これは〜。そのだな・・・・。」

浩瀚は驚いた。だが、驚いたのはほんの一瞬で、すぐにいつもの冷静な顔に戻る。さすがは慶国冢宰。そして、いつもどうりのやはり落ち着いた声で、声を発する。

「そうですか。祥瓊殿にそむかないと私に誓ってくださるのですね?」


なんだが嫌な予感がする。・・・・・。

浩瀚は祥瓊のほうに向き直る。

「それでは、祥瓊殿。主上に、今後1ヶ月の外出を禁止、および1日10時間の政務 をお申し付けください。」

慶国の冢宰は涼しげに笑う。――――祥瓊とめくばせすること、しばしー。

「陽子、じゃあ、そうしてもらうわよ。」

そんなぁ――――――――!!!!!&#%+☆△:*$!#@$○

あぁぁぁぁぁ

あぁぁぁぁぁぁぁぁ

あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!


金波宮が揺れた・・・・・・・・・・・・・。らしい。

(完)
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sayakaさんから頂きました、金波宮ギャグです!
頂いて読んだとき、もうこのオチにブハッと吹き出してしまいました(笑)
「祥瓊にそむかず」はクリティカルヒットです!!
貧乏くじ陽子は、ご愁傷様でした(合掌)
浩瀚と祥瓊がタッグを組めば、逆らえる人間は金波宮には存在しません・・・。

sayakaさん、爆笑ギャグをありがとうございました!
('02/11/17)
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