■秀さん■

みじかいかみのけ

「おかあさん」
少年の声がする。
今の時間は、小学の終わったころ。
この年頃の少年が家にいるのに、なんら不思議なことはない時間帯。
「おかえり、利広。帰ってきたらただいま、ぐらい言わないかい。おやつは手を洗ってからだよ」
食卓では母親が年の幼い妹にお菓子を与えている。
「はやく手を洗わないと、わたしが兄さまの分も食べちゃうわよ」
妹がそう言って急かすので、利広は急いで手を洗いに行ってから、再度母親に用件を告げようとした。
「お母さん、あのね」
「なんだい」
茶を飲んで、口を潤してから利広は言う。
「なんで僕は髪を短く切るの?」
母親は少々驚いた。
息子が自分の姿について何か言うのは、これが初めてである。その言葉と表情には、「僕も髪を伸ばしたい」というのが含まれていた。
「何でって・・・お前はまだ髪を梳いて結んだり、出来ないししようとしないだろう」
少年はぐ、っと詰まった。
母親の言うことが尤もだからである。
「そうだけど・・・兄さんは、ずっと伸ばしてるのに何で僕だけ・・文姫だって伸ばしてるのに。 第一、母さんも父さんも、髪の結び方なんて教えてくれてないじゃないか」
利広と文姫 「わたしは女の子だけど、にいさまは男の子じゃない。女の子は小さな子でも髪を伸ばすけど、男の子はあんまり伸ばさないわ」
妹が至極尤もなつっこみを入れる。
だが、母親は息子の告げた後半部分にまたもや面食らった。
「まあ、別に伸ばしてもかまいやしないけど・・・なんで伸ばしたいんだい?」
「べ、べつに伸ばしたいなんて言ってないじゃないか」
利広は少し恥らいがちに言う。
「言ってないけど思ってるだろ?」
母親の言葉に、少年は再度つまる。
「・・・兄さんも文姫も長くて、明菅だって優呉だって、伸ばしてるのにおかしいって思わない?僕だけ短いの。」
母親はようやく合点がいった。
少年はどうやら、自分だけ、という疎外感を感じたか、誰かにおまえだけ、と言われたのだ。おそらく後者であろう。負けず嫌いな年代であるし、周りに言われると気になるものだ。
「そうだねえ・・そういや、明菅も優呉も髪は伸ばしていたね」
母親が言うと、少年の顔が少し明るくなる。
それと同時に、
「だめよ!にいさまは短いままがいいわ」
文姫が唐突に告げる。
その言葉に、利広は不快感をあらわに妹に詰め寄る。
「なんで?文姫はなんで僕の髪が短いままがいいのさ」
「だって、にいさまが自分ひとりで髪が結えるわけないじゃない。かあさまに結ってもらうんでしょう? そしたら、かあさまはわたしの髪を結う時間が少なくなるしにいさまはわたしと遊ぶ時間が少なくなっちゃうわ!」
当然じゃない、とでも言いたげな妹の顔を見て、利広からはや る気が失せてしまった。
   当分、自分の髪は短いままだなあ――少し、諦めの着い た利広であった。


秀さんから、100万カウントのお祝いに頂きました!
んかっ、か、かわいい〜〜〜!!!(ばんばん!) 青い!まだまだ青いお年頃の利広さまですよ!! 「おかしいって思わない?僕だけ短いの。」とか「なんで僕の髪が短いままがいいのさ」とか、この言葉遣いのかわいらしさってば、なんて素晴らしいんでしょう!
そうかぁ〜、こういう会話の末、利広様は長い髪の毛に憧れて、大人になってもああやって垂らした髪型をしているんですねv(ほんとか)

秀さん!かわいい盛りの利広様を本当にありがとうございました!
というか、センスのないタイトルを勝手につけてしまって申し訳ないです;(03/11/9)

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